夜更かし

眠れないので文を書くことにした。久々にフリックではなくて、キーを叩く。本当に久々すぎるもののタイピングはそれほど下手になっていないようだ。元からそれほど上手くもないが。 一人暮らしを始めて二週間が経った。部屋探しにはかなり時間と労力を使った…

覚えていない

三日前、白龍の夢を見た。公園のうち錆びた鉄柵に囲まれて、しどけなく小砂利と土草に伸び、さながら小さな動物園に展示されて生きているような、少し過剰に人慣れした印象の龍が、その首を這い伸ばして僕の方に近づいて匂いを嗅ぐようだ。白龍だ、と日常的…

https://soundcloud.app.goo.gl/arw1wPqN7yVLaHZ69 猫は全快した。

猫の入院

飼い猫が入院してしまった。肺に淡い牡丹雪のような影がいくつも散らばったレントゲンを見ながら、努めて冷静な受け答えをした。こうした影の映る原因はいくつかあり、ひとつには腫瘍、または水腫、あるいは炎症との事で、腫瘍の可能性を印象付けるように医…

貝殻の国

七色に積み重なった貝殻の国、かさかさと乾いた足音で登った丘の上に広がる黄味がかった青空、巻雲と、広がる大地も淡い七色に、ここは遥か昔の海、窪んだしじま、残された過去、抜けて行く底、透球の焦点。

無関心

僕は木に登っていた。冬の空と山際だった。空気は灰色をして、汽笛から透明な煤が吹いて、遠く遠く行き渡ったようだった。白茶けた枯れ草に覆われた畝は、次第に夕暮れの中に波打って、ひとつ、ふたつ、飛び石のように散らされてある瓦屋根も沈んで見えた。 …

アイン①

アインという、月の民の一員がいます。彼は月を眺めていました。群れから一人離れた丘の木の上、とりどりに彩られた布張りの天幕と、薄紫色の空へと登ってゆく微かな炊煙とがいくつも赤土色の地面を埋めた辺りをぼんやりと見遣りながらも、その目はおもむろ…