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何よりも遠い場所にいる、と思う時は、誰でも来られそうな場所にいることが多くて、本当の遠さは目の前の人に感じるから、遠さは人を鈍感にする。だから本当の遠さに立った人は、誰にも印象を残すことなく、世界から消えるのだと思う。本当の別世界は地続きだと考えられて、意味がなさそうに感じるようだ。

死に場所ではなく、生き場所ばかりを気にするから、死んでいった人は見えなくなる。そういう人だった、で片付ける。そういう人たちはあるいは幽霊になって、理解のうちに、いつまでもとどまっているように、語られ、見られ、感じられ、私たちは自身の理解が及ばないことを認めようとしない。

それにそれを知らされたところで、反感だけしか残らないのだ。知の不全はあり得ない。そのくらいこっちは知っている。だからなんなの?

より一層輪郭を際立たせた私たちは、選択が間違っていないことを確信し、何よりも生きていく。