2024-04-01から1日間の記事一覧

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穴に落ちて何も考えられなくなった。足を滑らせた、と思った時にはどこまでも落ちていて、引っかかりもなくそのままごそりと地面の感覚を失い続けている。本当はどうすべきだったのかなど知らない。知っているが、認められない。壁に爪を立てようとして指先…

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幾度も幾度も重ねて繰り返しながら、本の端を三角に折っていく。全てのページを折り終わって、次の本を手に取る。表紙の向こうに何があるのかは知らない。とにかく折っていくのだ。棚から取った本もあれば、製本途中の本もあり、ふやけた本もあれば、キャラ…

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何よりも遠い場所にいる、と思う時は、誰でも来られそうな場所にいることが多くて、本当の遠さは目の前の人に感じるから、遠さは人を鈍感にする。だから本当の遠さに立った人は、誰にも印象を残すことなく、世界から消えるのだと思う。本当の別世界は地続き…

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パイナップルを輪切りにして、半分ずつずらして重ねて円にしていく途中で、自分の手が気になった。果汁が滴る指を舐める。甘さを感じるが不思議で、目の前の鏡を見る。老けた顔の自分が映り枷を感じ、皿の上の果物にもう一度目線を落とす。鮮やかな黄色と、…

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空を見ながら歩いていたら、急に壁にぶつかった。仕方のないことだとは思ったが、唐突なので信じがたい。なぜここに壁がなければいけないのか。関心があるわけでもないのだが、文句を言わなければ気が済まないということもある。 君はなんだってこんなところ…